2010.09.30 Thursday
新宿駅ホーム、雨、大幅な電車の遅れ、九月が終わる。
「オレがさぁ、もしもあの日あそこに行ってなかったらきっとアイツには出会えなかったよなぁ」
「そうだな、そうかもしれない。いやでもさぁ、オマエはあそこに行ってなくてもアイツに会えてたんじゃねぇか」
「そっかなぁ。そんな気もするけどな」
ぼくはその時、新宿駅のホームで大幅に遅れている電車を待っていた。
すると程なくして、ぼくのすぐ後ろに居たふたりの若者のそんなやりとりが耳に入ってきたんだ。
ぼくは『熱海の捜査官』の主人公星崎が言った、
“全ての物事は、きっとどんな道筋を通ったとしても同じ結果に成る”
そんな台詞を思い出したんだ。
「ぼくもそう思うよ。人と人は出会うべくして出会い別れるべくして別れる。
まるで出会う事が決まっていたかのように人は人に出会うんだ」
ぼくはうしろの青年にそう言いたかった。
が、
やめておいた。
雨男のくせにね。